シンガポール旅行記

実際に行ってみるまでシンガポールという国が謎でした。シンガポール人っぽい顔とか全然イメージないけどどこにあるの?言語は?っていうかマーライオンって何?

世界のどこかしこも、GoogleやらSNSやらでわんさか出てくる定番スポットの綺麗な写真に見慣れ、なんなら友達の投稿で見過ぎて勝手に行った気になる場所が大半の昨今、勝手なイメージと空想で輪郭があいまいな、よくわからない未知の国が残っているというのはとても幸運なことだと思う。9月のマレーシア旅行でも、まったく知らない場所に飛び込む方が圧倒的にわくわくして楽しい!(ただし治安のいいところに限る)ということをあらためて実感し、今回は高校時代の愉快な仲間たちと特に下調べもせずにシンガポール珍道中に。

人生で初めて海外に行ったのが高校の時の希望者が行く英国研修で、その時に出会った付き合いの長い友たち。完全に自分たちだけの海外旅行に初めて挑んだのも、その後この3人で行った2017年の台湾。なぜか無鉄砲にもWi-Fiを持たずに、友達はるるぶ、わたしはメモとペンだけを持って勇み足で上陸、英語も通じず地図も見れず、ボディランゲージと筆談と気合と根性だけで臨んだ、何もかもが若かった旅。もうWi-Fiはマストだしるるぶも持って行かなくなって旅にも慣れてしまったけれど、大人になっても珍道中の思い出を更新し続けられるありがたさ…

こちらが今回の旅を彩るドタバタトリオ

ところで最近の学びとして、OL旅は平日の仕事終わり(実際は「仕事終わり」という言葉で片付けられるような優雅なものではなく、一分一秒を争い修羅の形相ですべての残タスクを片付け、ありとあらゆるものをかなぐり捨てて命からがら空港に辿り着く、の意)の深夜便で出国をして、滞在最終日は一日フルで遊んだ後にそのまま深夜便で帰る…というのが正解な気がしてきている。

今回は、深夜便で出国→深夜便で帰国して、現地でまるまる3日間観光。社会人になったら貧乏旅は卒業して優雅に海外旅行とかしちゃうんだろうな…♩とか思ってたのに、未だにバックパックひとつで命を削りながらLCCを乗り倒す日々。今回はセールやら諸々の事情やらで羽田発着のJAL便だったのですが、心地良すぎて一生これがいい…ってなった。

1日目 定番観光地を歩き尽くす

足の限界を越えるまでひたすら街を練り歩き、マリーナベイサンズや、念願のSupertree Grove、未来的な植物園ガーデンズバイザベイ(Cloud ForestとFlower Dome)あたりの定番スポットを制覇して、夜は二大ライトショーらしいSupertree Groveのガーデンラプソディ→マリーナベイサンズのSPECTRAをはしごするという漢気あふれる一日。マーライオンは工事中で見れず。嗚呼、マーライオン

巨大植物園の迫力とマイナスイオンの緩急よ

地上から上空の道を見ると気持ちよさそうだけど、実際に登ってみるとそんなこともなかったりするよね、ということわざを作りそうになった

植物園が街の、もっと言えば国のシンボルとなり、求心力を持つ、というのはすごく美しい心だと思う。植物園の外も、街と自然が融合して、人と共生していて、どこもかしこもその風景がすごく好きだった。

シンガポールで一番楽しみにしていたSupertree Grove

霧雨のミストが吹き荒ぶなか見守ったSPECTRA

注目の二大ライトショー。こんなの毎日やってるなんて、とってもバブリー。ガーデンラプソディは、数十分間のショーで変数が音と光のみ(木は動かない)というなかなか難しい縛りの中で、壮大な音楽と、どんどんテンポが上がってくオペラ調の、というかもはやサスペンス風の音楽をできるだけ極端に組み合わせた構成で、できるだけ観客を飽きさせないように頑張るぞ…!という創意工夫が感じられて、謎の目線で「ウンウン…」と共感していた(前にいた欧米系のおじいさんは3分くらいでめちゃくちゃ飽きていた)

SPECTRAは坂本龍一さんの楽曲が使われていて、あらためてとても美しい音楽だなあとじんわりした。このショーは見る場所によってだいぶ見え方が違ってしまって難しかった。が、ラスベガスのような派手さはないけれど、水と光でかっこいい新しいものを作るぞ!という心意気を感じた。なんだか両方とも裏側に透けて見えるお気持ちを鑑賞してしまった。

旅先で人々の信仰に触れる時の、誰かの大事な家を覗き見する感じ

浮かれぽんち、お気に入りのサングラスを初日に無事紛失

2日目 ユニバーサルスタジオシンガポールセントーサ島

せっかくの海外旅行でテーマパーク?とも思ったけれど、友達から「どのモデルコースを見てもユニバが入っていて怪しい、シンガポールはユニバなしでは時間が余る説(失礼)」とのタレコミがあり、せっかくなので開園からフル満喫した。実際その説は間違っていなかった。

日本よりも待機時間と夢と希望が50%OFFのユニバーサルスタジオシンガポール。特にREVENGE OF THE MUMMYが一同気に入りすぎて(スペースマウンテンとインディージョーンズを足したみたいな感じ)閉園間際に最後に乗った後に、まだ行けるらしいぞとそのまま並び直して2周目!という、小学生みたいな遊び方をした。

ノリノリで3回も乗っちゃったMUMMY、入り口の像めちゃくちゃでかい

3日目 お土産ショッピング・何が何でも展望台に登り隊

BACHA COFFEEで優雅に朝ごはんを食べて(とはいえ本店はモロッコ)TWGでお土産に紅茶を買い、ラッフルズホテルのLong Barで伝統あるシンガポールスリングを嗜む。元々女性向けに作られたという、フルーティーで飲みやすいシンガポールスリングはなんと今だと1杯約4,500円。全然飲みやすくない。

BACHA COFFEEあまりにも洒落すぎている

TWGでは茶葉を計り売りしてもらった

人生で飲んだ一番高いお酒の記録更新

ピーナッツの殻は地面に投げ捨てるスタイル、なぜかお客さんはほぼ西洋人

最終日はマリーナベイサンズのてっぺんに登るぞ!と楽しみにしていたのだけれど、まさかの日時指定の事前予約が必要で全回売切という悲劇が発生。圧倒的リサーチ不足にマリーナベイサンズの足元で全員のテンションが急降下するなか、諦めきれない執念でチケットを買えるサイトをこぞってリサーチしまくり、なんとかその場で日本のサイト経由で定価で購入できた。これぞ奇跡…ありがとうマーライオン

小雨の中、昼から薄暮、光がきらめく日没後まで、一番贅沢な風景の移り変わりを見届けることができた。宝石みたいな街。休日も働いている小窓の中の皆さん、夜景を作り上げてくれてありがとう(PN:東京の夜景の中のひとつの小窓より)

シンガポールごはん記録

計画性皆無の、行き当たりばったり旅を生業とする我々。旅程は何の参考にもなりませんが、食への愛と執念はピカイチゆえ、ローカルグルメを網羅しつつ、ちゃんと外さずに美味しいものに辿り着く自信、あります。マレーシアではあまりごはんが口に合わなかったからシンガポールも心配していたけれど、全部めちゃくちゃ大当たりで、みんなにおすすめしたい。

カヤトースト@Ya Kun Kaya Toast

有名チェーンで朝ごはんに食べた、シンガポール名物のカヤトースト。カヤジャムとバターをはさんだカリカリのサンドで、あまりにも素朴な味わいに一同「やさしい…」と呟いた。なぜか卵もついてくる。

チキンライス@天天海南鶏飯

チキンライスだけは事前にリサーチして、君に決めた!と迷わず突撃。文字面と気持ちいい語呂ってことだけなんとなく覚えてて、ずっと「天々天々天津飯(テンテンテンテンテンシンハン)♩」みたいな奴って言ってたけど全然違った。これ、本当に美味しかった。柔らかくてぷるぷるで癖のない鶏肉と出汁の効いたごはん。社食にしてほしい。

チリクラブ@JUMBO SEAFOOD

最終日は豪勢にチリクラブ。到着した日に予約しておいた。エプロンが可愛くてみんなでダブルピースで呑気に写真を撮っていたのも束の間、ドーンと出てくる蟹を一心不乱に殻剥きしなければならない苦行に一同血の涙(と、指からマジの血)を流した。お正月に実家で出てくる、剥きやすいようにはさみの入った、一口ずつカットされた蟹。あれは愛だったのだと気付かされました。とはいえ味は超美味しかった。揚げパンを味の濃いチリソースに浸して食べる至福。そして、おすすめされて頼んだスイカジュース!爽やかな喉越しと甘みにノックアウトされた。

肉骨茶@SONG FA

昨今、毎年必ずビブグルマンに選出されているらしいバクテーのお店。カジュアルどころか気取ってなさすぎる路面店!そこで秒で出てくる映えない肉と汁!と若干疑心暗鬼になるも、滋味深いお出汁とほろっとした食べ応えのあるお肉、シンプル・イズ・ベスト、完敗です。そうだよね、人間と同じで自信があれば素材だけで勝負できるよね。海外で食べたとか関係なく超美味しくて、地球は丸かった。

BACHA COFFEE

特にSNSにも載せないから日頃まったく映え写真を撮らないわたしですが、図らずも近年自分で撮ったごはんの写真の中で一番キマってしまった。何を頼んでもテーブルが貴族の仕上がりになるお店。百科事典みたいな目録からインスピレーションで選んだコーヒーと、バター丸ごと入ってくる?!ってくらいじゅわっと溶け出すクロワッサン、トリュフの効いたオムレツ。見た目も中身も間違いなくってほくほくした気持ちをありがとう。

ペーパーチキン@ヒルマン・レストラン

ネットで見つけて、美味しそう!と行ってみた中華屋さん。とにかく日本人にウケているらしく、結構入店までに待ったけれど、出て行くお客さんも店内にいる人も8割方日本人。あまりにも日本語しか聞こえないからたまに日本にいるのかと錯覚しそうになった。このペーパーチキンが名物(紙の袋の中で、チキンを調味料に漬け込んだ状態で茹でる?らしい)色んなものがちょっとずつ食べれて楽しかった。酢豚が美味い。

番外編

シンガポールのご当地ビール Tigerも昼からしっかりいただく

暖かい国にある、オレンジ生搾りジュースの自販機が好きすぎる

総括

シンガポール、現代的な都市と自然と文化が融合された、美しい街だった。先進的で整備された街に、アートや緑が境界線を塗り替えて侵食する感じ、その胸躍るバランスに日々わくわくして、すごく好きな国になった。

昼の緑も夜の光も美しい、贅沢な国

平日に街中を歩いて、丸の内みたいなきらきらビジネス街を歩く色々な人々を眺めるのがとても楽しかった。旅行の醍醐味はやはり人間観察!同じビジネス街でも、曲線がふんだんに使われたオフィスビルに豊かな緑が寄せているのを見ると、ここで働いたらストレスも軽減するのでは?!と思ってしまう(多分そんなことはない)

11月のシンガポール、ありとあらゆるところにクリスマスツリーが溢れていた

日本よりも治安がいいというシンガポール。出会う人もみんないい意味でお節介で優しかった。物価も高いけど、次はマリーナベイサンズやラッフルズホテルに泊まってみたいし、あとマーライオンも見たいし、そしてできれば両親を連れて行ってあげたい。歩き回ると体力を消耗するばかりだけど、同じくらいエネルギーを街から分けてもらったような、道中友たちとずっと「シンガポール、住めるね…」と言い合っていたくらい、わたしにとって水の合う国でした。