今年のGW前半は、気付けば1年半ぶり(!)に日本を飛び出し、2泊4日で弾丸セブ島へ。オンライン英会話で仲良くなった同世代のフィリピン人の先生と、ノリと勢いでセブで現地集合するというトンチキ珍道中を計画し、一緒に来てくれた友達と本物のジモティとリゾートエリアではなく街を動き回るド・ローカル旅。
いつもはどんな旅行もほとんどノープラン、その場の流れと直感で思うがままに過ごしていたら、なんだかんだ全部うまくいく🎶というご機嫌スタイルでやらせていただいてきたのだが、今回はよくもまあこんなにやることなすことすべてがうまくいきませんね…?という常時厄年状態に困惑。それでも満身創痍・疲労困憊のなか強く生き抜く、逆に色濃く思い出に刻まれる旅路となったのであった。これもまた旅……!
- 1日目:時間と体力の限りを尽くしてセブシティからオスロブへ
- 2日目:ジンベエザメと泳ぐ、ナイトクラブの悲劇
- 3-4日目:セブシティ観光、さよなら生身のセブ!
- 余談:入国管理システムeTravelでぼったくられる
- おみやげ紹介
- 総括
1日目:時間と体力の限りを尽くしてセブシティからオスロブへ
ひさしぶりに成田初の飛行機。搭乗寸前でセブ行きをキャンセルしたご家族がおり、まだ小さな女の子がご両親から説明を受けて大号泣している姿に胸が痛む。どんな事情があったのか分からないが、あなたの気持ちも連れていくよ…と熱い気持ちで心の中で一方的にグータッチを交わし飛行機に乗り込んだ(いま思い返すとこの時からすでに不穏な幕開け)
まずはセブシティに乗り出して換金と腹ごしらえを目論むも、道中のGrabの密室車内の甘ったるいバニラ系の匂いと悪路と揺れと慈悲のない運転に苦しめられ、早くもビニール袋を片手に握りしめる。怒られないようにわずかに開けた窓から新鮮な空気を求めて金魚のように口呼吸に勤しんだ。セブ島、ほぼすべてのエリアでおしなべて道路の質が悪く、さらに車内の甘い匂いがきつい車が多すぎて、この後すべてのGrabチャンスで運転手の技量と趣味に我が命運がかかりすぎていた。
この上陸すぐの時点で想像していなかった街の汚さや臭いや道路のクオリティに面食らい、早々に「おやおや?」と思い始める。兎にも角にも、どこにも信号のない、車の途切れない・止まらないデス・ラウンドアバウトを決死の覚悟で横断し、ようやく辿り着いた誰もお客さんのいないレストランで初めての食事。お客さんよりも店員さんの数の方が多い(そして暇そう)という安定の東南アジアスタイル。


パンシットという、どこかココナッツの甘味を感じる塩焼きそばと、シシグというキャラメルの甘味を感じるコリコリした豚の炒め物。フィリピン料理、ありとあらゆるものがちょっとずつ甘い。アジア旅行の唯一の不安は食との相性なのだが、残念ながらフィリピン料理とは方向性の違いにより、この後も食べるものすべてのそこはかとない甘みに長らく苦しめられることとなった。無念。
この日の一番のミッションは、翌日の早朝にジンベエザメと一緒に泳ぐツアーに参加するために、スポットのあるオスロブという街まで大移動すること。所要約3〜4時間。
一般的なのはセブシティから参加する往復送迎付きのツアーで、それであれば日中の時間を移動ではなく観光に当てられるのだが、その場合はもれなく2時とか3時とかに送迎になる。こちとらもうそんな鶴太郎起床は耐えられないよ…ということで、前日の日中を移動時間に当ててでも安眠を確保しようと目論んだ末のローカルバス移動を計画。
初日の苦行はここから始まった。事前にネットの色んな情報やブログを見漁った感じ、軒並み「バスターミナルからオスロブ行きのバスに乗ればOK☆超簡単☆お試しあれ☆」的な超イージーな紹介をされていたのでだいぶ油断していたのだが、ここが大苦境。みんな本当に自分でバス乗ったうえで書いたのか?と問いたくなるくらい、だいぶしんどかった〜〜〜。
まずバスチケットを買うために行列に並び、ようやく目的のバスに乗り込めると思いきや、向かった先の待合所で我々と共に同じ方面のバスを待つ人の数、蟻の如し。たぶん100人以上いた。大混雑のエリア一面のぎゅうぎゅうのベンチすべてがバスを待つ人で埋まっており、なんなら座りながら待機列をなしているという悲劇。バスは30分に一度来ると言うが、きっちり30分間隔で来るはずもなく、もちろん増発もなく、自分がいつどのバスに乗れるかも分からないまま時が流れて狼狽する我々。一方、慌てる様子もなくただただいつかバスに乗れるまで待つ、というスタンスの現地人×100。島時間すぎないか……?未整備なバスシステムを生身で体感。

そこから虚無時間を1時間半ほど浪費し、気付けば外は真っ暗、バスに乗れてもそこから4時間車内なので着くのは深夜、かつ夜ごはんも食べられない&確保できないことが確定…という絶望状態に天を仰いだ。踏んだり蹴ったりすぎる。
そんなバスに乗り込み爆睡の末ようやくオスロブのホテル付近に辿り着くも、なんと「かっ飛ばし中の高速バスの運転手に降りたい地点で声をあげないと降りられない」という小心者には不向きなローカル降車方式なことが判明し、なんなら若干出遅れてホテルを通過してから降車(運転手さんに事前に場所を伝えて「OK!」と言われたのだが普通にかっ飛ばして通過されて全然OKじゃなかった)

ほぼ歩道もない道を、ハイスピードでかっ飛ばす大型トラックに轢かれないように友達がiPhoneのライトで照らしてくれながら進む。轟音の大型トラック、吠え叫ぶ野良犬(怖すぎる)、ようやく着いたホテルは堅固な門に銃を持った警備員。物騒すぎでは…?と慄きながら深夜にようやくチェックイン。

お腹ぺこぺこだったが、もちろん地元の店はすべて閉まっていてごはん抜きを覚悟するも、フロントのお姉さんたちがいい人で、注文できるお店を探してピザを頼んでくれた。奇跡のピザ、沁みるぜ…。
友達がはまっているという水ラーメンの無人島サバイバル動画(めっちゃしんどそう)を見て、その点我々はホテルのベッドで寝れるし…と自分たちを慰めながら寝た。

2日目:ジンベエザメと泳ぐ、ナイトクラブの悲劇
翌朝5時起き5時半出発で、ホテルに手配してもらったジンベエザメツアーへ。何の計画も立てていないけど、ジンベエザメと泳ぐぞ!ということだけは早々に決定しており、なんならジンベエザメ(と先生)に会いにセブに来たと言っても過言ではないのでわくわくしていた。
ぼろぼろのトゥクトゥクで穴だらけの道を走って朝日を見た。ジンベエザメスポットに着くと、もうすでに人は集まり始めていたけれども、Walk-inの窓口だったうえに、わたしたちに着いてくれた業者さんが早く受付をしなかった(からだとわたしは主張している)ゆえか、なんとそこからツアーに参加できるまでに待機2時間。現地にいたのに…?


すぐに来れるから前泊しているというのに、セブシティから来たと思われるたくさんの人が、我々より全然先に海に入れて、なんなら上がってきて帰っていくという悲劇。なんだかセブではいつも何かを待っていたね…。

肝心のジンベエザメツアー、遭遇率99.5%とネットで見て、そんなことあるの?!と心配していたが本当にうじゃうじゃいた。遠浅の反対、砂浜からあまり離れないけれど水深がぐっと深いエリアまでボートで漕ぎ出して、海でぷかぷか浮いて待つ。近くのおっちゃんが海にエサを撒くと、そこに目掛けてジンベエザメが人間のごく近く(なんなら時には接触してしまうくらいに)泳いでやってくるのである。


直近で邂逅するジンベエザメ、中には美ら海水族館にいるような大きな個体もいて、それを至近距離で目の当たりにするのはすごく神秘的な体験だった。まったく何をもってしても違う生きものだ〜〜!ということを分からせられるような。

日の当たる場所で見るとホテルはリゾート風できれいなところだった。昨夜はあんなに恐怖だったのに…。記念にホテルのプールでも一瞬泳ぎ(こういうとき、昨年ひとり市民プールで練習してマスターした平泳ぎが生きるぜ)、オスロブ→セブシティの帰路は昨日の反省を活かし、お金にものを言わせてタクシーで悠々と帰還。

セブシティでは、Ayala centerという巨大なショッピングモールでお買い物したり、フィリピン名物ジョリビーで腹拵えしたりして、ついに先生と初対面。またフィリピン料理を食べた(そしてまた途中でダウンしてしまった、ごめん…)先生はJO1の大ファンで、頼まれていたうちわと、おまけでアクスタをつけて我々からのお土産とした。海を越える明るさと熱心なオタクマインドを併せ持つ稀有な逸材。なぜかマッスルバーとか日本の性風俗に誰よりも詳しくて、お店のHPとかもガンガンにチェックしていて面白かった。

夜は、先生&先生のいとこたちと連れ立ってローカル・ナイトクラブへ。もちろん東京では一度も行ったことがないのだが、陽気な外国人の友達たちの先導でなぜかヨーロッパの数カ国でデビューし、ついにセブのパーティーフロアに上陸。


あまりの爆音でお互いの声がまったく聞き取れず、携帯にメッセージを見せ合って会話するレベル。現地のダンシングナイトをちょっと覗いたらすぐに帰るつもりだったが(朝からジンベエザメと泳いでるので…)パーティーフロアが温まるのに2時間もかかって遅くなってしまった。ここでもまた、ただただ待った。早くみんな踊ってくれよ!と誰よりも願っていた。
その時に先生に見せられたテキストメッセージ、「Now everything is getting ready. Once alcohol hits, the party gets started.」パーティーピーポーすぎてめっちゃ面白い。
ようやくクラブを出てホテルに戻ろうとしたら、耳鳴りが止まらない。友達はすぐに治っていたけれど、わたしは時間が経っても、なんと寝ても治らず、ネットで調べたらTHE・音響外傷と見られる症状を発症していて、早く病院に行かないとやばいことを知り震える(結局丸2日以上耳鳴りが続いた、このことはまた書きたいと思っている)
日中にスーパーで買っておいたマンゴーとマンゴスチンを食べた。マンゴスチンは知らなかった果物。にんにくみたいな中の白い果実を食べる。ちょっとライチみたいな風味で、すごく気に入った。マンゴーの切り方も友達が教えてくれた、なんてみずみずしい果実!この2つがセブで食べたもののなかで一番美味しかった🎶


3-4日目:セブシティ観光、さよなら生身のセブ!
翌朝、強い陽射しのなかで美しいホテルを探索してから、お土産探しと観光地巡りへ。


マゼランクロスや、たまたま歩いていて見つけた、セブの歴史をすべてひとつにまとめたという、もりもりの欲張りモニュメント。


お昼はまた先生と合流して、これまたフィリピンローカル料理でおめでたいときに食べるらしいレチョンという豚肉料理をいただいた。フィリピンごはんのなかでは、癖がなくてこれが一番おいしかった!


その後、乗っていたGrabが停車寸前に事故を起こすというハプニング。どうしてこんなにすべてがうまくいかない…?早速、双方の運転手と現場にいたショッピングセンターのスタッフとどこかから現れた野次馬のおじさんたちで灼熱の現場検証がスタート。

お互いの過失を押し付け合う長い闘いの最中、すんませんが我々は次があるのでもう行きますね…とそそくさと別れを告げ、最後にしてこの日一番楽しみにしていた、日本で知り合いに教えてもらったエステへ。
せっかくだから全部やろ!ということで贅沢にフェイシャルも全身も予約していた(コース名:空飛ぶ肩)。たまに眠りに落ちながら、大変気持ちいい時間を過ごさせていただいたが、わたしの担当者さんのひとりはたまにフェザータッチしにくるも大部分は椅子に座って休憩していて、隣の友達と同じコースはずなのにわたしだけ全然揉んでくれなくて笑っちゃった。ちょっと言う勇気はなかった。

マッサージ、やっぱり最高〜〜🎶ととろとろとした気持ちいい倦怠感に包まれた。ただ、本当はこのエステのオーナー先生の神診断&フェイシャルエステが有名で、それ目的で訪れたので、その恩恵は受けられず無念。現地スタッフのめちゃ痛ゴシゴシフェイシャルだった、どうにか効いていることを祈る…。
夜ごはんはついにフィリピンローカル料理に別れを告げて、安定の中華へ。本当に中華は世界中どこで食べてもだいたい美味しくてすごい。でもこの辺りは結構危険なダウンタウンなことが判明し(道中で薄々気付いてはいた)厳戒態勢でどうにか空港へ。


空港はこんなにも美しくて、美観的にも衛生的にもセブ市内のどことも似ても似つかなくて、なんだか悲しくなった。現地を訪れる外の人のための虚構。わたしが触れたのだってセブのほんの一部でしかないけれど、それでもこの空港からリゾートホテルのエリア(マクタン島)に直行してホカンスを楽しんで帰ってくるだけだったら、セブの汚いところはまったく見ないで済む。そうやって動線が棲み分けられているんだなあ、と思った。楽しいだけの旅ではなかったけれど、今回わたしたちが見たのは少なくとも生身のセブだった。

余談:入国管理システムeTravelでぼったくられる
もう恥ずかしくて情けなくて書くのも嫌なのだが、フィリピンに入国する際に必要なeTravelという本来無料の入国管理システムで、限りなくグレーな代行サービスに18,000円ほどぼったくられていたことが判明し、血の涙を流した。気付けなかった自分の愚かさにも落ち込み、自信喪失。メールで鬼の返金依頼を送りまくり、最終的に気迫勝ちで謎の6,000円くらいの返金を受け取ったが、いまだ怒りと悲しみで震えている。

セブに行かれるみなさま、わたしの屍を踏み越えていってください。入国管理システムでクレカ登録は必要ではありません、あとeTravelをGoogle検索して一番上に出てくるリスティング広告はだいたい詐欺です、どうかお気を付けて…。
すべてをポジティブに言い換えてくれることでお馴染みの母に、後日傷心モードでこの話をしたら、初手で「18万じゃなくてよかったねえ、それは勉強代だね!」と励まされて目から鱗だった。た、たしかに、わたしはただクレカ登録に応じただけで金額は見ていなかったので、もし、もしもこれが18万円だったとしても気付かずに引き落とされて、一生取り戻せなかった…。うう、そう考えるとあまりの恐ろしさに鳥肌が立つ。全然許容はできないけれど、というか許すまじ悪行、末代まで呪いたいモードだけれども、それでもこの金額で済んだのは不幸中の幸いだったのかもしれない。痛みの伴う社会勉強。
おみやげ紹介
家族や友だちに配る用に、ネットで美味しい銘柄を調べて決めた7DのドライマンゴーとJOVY'Sのバナナチップス。


フィリピン発祥のものを自分に買いたいな〜〜と思って、偶然見つけた、フィリピン版Aesop的なSCENTSMITHというお店のいい匂いのハンドソープと、民芸品っぽいかご編みの小物入れと、きらきらした水色の石のネックレス〜〜!



総括
ということで、初めてのセブ旅行はトラブルと刺激に溢れた珍道中となった。とにかく毎日何かを待っていたし、こんなに何もうまくいかない旅行ははじめてだ…と途方に暮れながら、THE・アジアの洗礼を浴びた。
島モチベを高めるためにこちとら前日『モアナと海の伝説 2』を履修してから臨んでるからね。モアナをイメージして着いてみたら、『スラムドッグ・ミリオネア』でした…という感じ。
もちろん単純にわたしのリサーチ不足でフィリピンは何も悪くないし、航空券もホテルも物価も安いから文句は言えないのだが、街の汚さとか不衛生なものに常に囲まれていることとか、その匂いとか、貧富の差やストリートチルドレンを目の当たりにすることのストレス、いつでも何かを待つこと、たくさんのトラブル、あとごはんが口に合わなかったこと…などなどが積み重なって、なんだか疲労困憊な旅だったなあ。


でも、何よりも生きて帰ってこられて、あとジンベエザメとも泳ぐことができてよかった。もちろん、大事な友達と先生と過ごした今回の非日常旅が忘れられない思い出になったことは大前提として。次こそはな〜〜んにもしないリゾートバカンス旅リベンジするぞ!
時間も体力もありあまっていた大学生のときなら、逆にこういう体当たり旅が楽しかったと思うのだけど、もうそういう歳ではないのだなあと悟った。日々のハードワークの先で掴み取った貴重な連休で、エネルギー回復どころかさらに疲れたら意味ないからねえ。そのときの自分が刺激を欲しているのか、刺激を排除したいのか、ということを見極めなければならないと思った。あと、お金で済むことはお金をかけて解決した方がいい。そして、何よりも身の安全と健康が一番大事。

逆にこの旅で散々だったから、ありったけの厄を詰め込んできれいに清算できたのでは?!と思っていたのだが、帰国後も色々なトラブルや不運が重なり泣きっ面に蜂状態が続いている。厄落としを真剣に検討するレベル。日々に平穏あれ…。