未知本チャレンジ(2025年上半期)

昨年1月に意気揚々と旗揚げした、未知なる本を月に1冊読もうという試み、その名も「未知本チャレンジ」。細々しすぎていつ息が途絶えるやら…という感じだが、なんとか2025年も続けているうえに、年初にはわたしの生活を少なからず変えた出会いもあった。月日が経つのが早すぎて怖いけど、そんな上半期の記録です!

 

1月:【スマホ中毒】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』

この数年色んなところで見かけて、耳が痛いテーマだからこそ一番意識高い年始に読んでおくか〜〜ということでセレクト。様々な研究結果をもとに、スマホがどれほど脳に(主に悪い方に)影響を与えているか、というタイトル通りの内容だが、語り口がライトで読みやすい。

特に印象に残っているエピソード第1位は、「SNSドーパミンなどのホルモン分泌を操作するように設計されているから麻薬のような常習性が生まれてやめられない」という話。最近では当たり前のように知れ渡っているが(それも恐ろしいけど)、毎日意味もなくTwitterの文字列を眺めては、思考停止でタイムラインをリフレッシュしている我が愚かな習慣。たまに自分でも「いま脳が麻痺してるな〜〜」と脳のどこかで自覚するという矛盾した罪悪感を抱えて生きているので、こういうのを読んで改めたかったんだよ!という潜在的マゾ意識が顔を出し、自ら頬を差し出て気持ちよく平手打ちしてもらった感じ。

そして第2位は、「人間の脳は原始の時代からほぼ進化していないから、今でも人間の体と脳は運動(=生存)に最適化している」という話。なるほどな〜〜と目から鱗が落ちると共に、めずらしく運動意識が高まり、2月の未知本へと続く。

 

2月:【有酸素運動】アンデシュ・ハンセン『運動脳』

1月に引き続きハンセンシリーズ第2弾。運動(特に有酸素運動)が、そこらの脳トレよりもよっぽど脳の機能改善に効果があることに加え、ストレス軽減効果があり、なんとそもそもストレスに強いメンタルにもなれる!という大発見を説明してくれる本。

昨年末に仕事で大きな体制変更があり、そのまま未整備の状態で繁忙期を迎えたことに加え、ご一緒する新任の方の仕事の進め方が大変イリュージョナリーだったことから、年末年始を挟んで4〜5ヶ月くらい、労働時間も労働環境も仕事内容も宇宙的状況で、ストレスがもう大変なことになっていた。信じられない裏切りに、自宅のPCに向かってひとり拳を握り締めて立ち上がったこともある(実話)

とはいえ人は変えられない、環境も今は変わらない、じゃあどうするのか?わたしがストレスをものともしない強靭な肉体と精神を手にするしかない!という男塾発想で、この本に力強く背中を押してもらい、人生初の週2朝ラン生活スタート。自分の人生で自発的に走ろうと思う日が来るなんて、自分が一番びっくりしている。痩せたい!と思って走れたことは一度もないが、仕事のストレスを減らしたい!と思えば、いとも簡単に習慣化できたこと。本当に欲しいものや目的と手段が合致すれば、人間一直線なんだな〜〜ということを学んだ。

肝心の対ストレス効果は、ランニングに慣れるとともに仕事にも少しずつ慣れていき、これがランニングの成果や!という実感は得られていないだが、たしかに有酸素運動後の集中力は素晴らしいものがあった(村上春樹も執筆中はランニングの後に書くのがルーティンらしい)

そして何より、青い空と緑に囲まれて、肺いっぱいに空気を吸い込み、自分の体を動かすことだけに没頭する時間があること。それこそが一番のストレス解消だったような気もしている🍃

 

3月:【ハイブランド】とあるショップのてんちょう『教養としてのハイブランド

常々思っているのは、我が人生にはハイブランドとの接点がなさすぎるなか、みんな人生のどのタイミングで、どうやってブランドに詳しくなったの?ということ。あのブランドはあの人がクリエーティブディレクターになってから○○で、とか、あの人があのブランドからあのブランドに引き抜かれて、とか、わたしの情報網では微塵もキャッチできたことがないのですが…。ということで、本屋さんでこの本を見かけた瞬間、そういった思いが一瞬で脳裏を駆け巡り、ブランドと特徴が一致するくらいの最低限の教養はわたしも欲しいぜ!ということで購入。

それはそれとして、近年「教養としての〜」というタイトルの本、多すぎない?いま出版DBで調べたら534冊もあったよ。タイトルにそうつければ売れる、とすると、人はどれだけ教養がある人間だと思われたいのか。とはいえこの前カフェの隣の人が真剣に『教養としての犬』という本を読んでて二度見してしまった。教養としての犬?!

色んな代表ブランドの歴史や特徴を広く浅く解説してくれて、まさにわたしが求めていた初心者向けの入門書としてバッチリだった。ブランドとは歴史なのだ、ということが分かったが、まさに世界史の授業を聞いたような感覚で、もう何も記憶に残っていないぜ(照)日頃UNIQLOの棚しか眺めていないわたしには、奇抜なコレクションの良し悪しや、革命的なスタイルを革命的だと見抜く慧眼は一生かけても養われそうにない。それでも、センスとは知識に裏付けされるものなのだ、ということは分かった。ちなみのこの本のどこにも「フツーの白シャツが10万円もする理由」は書いてありません。

 

4月:【断捨離】ゆるりまい『わたしのウチには、なんにもない。』

昨年の未知本エントリーに断捨離本を読みたい!と書いたところ、いつも楽しくブログを拝読しているid:chanaoi214さんにおすすめしていただき、歓喜の舞で購入しました(ありがとうございます!)

ひとりひとりの人生に歴史があるように、モノに対する価値観や衛生観念にも歴史ありだな〜〜と興味深く読んだ。大掃除や断捨離をしていると、いつもはありえないほどに、物を捨てることのハードルが限りなく下がるタイプのゾーンに覚醒し、なんでも捨てちゃう(そして後から後悔する)ということを恒例行事として取り行っている身としては、ちょっとだけ気持ちがわかる部分もある。なんだかもやもやしている時に部屋を片付けるとすっきりするし。やっぱり部屋は人の心を表すのかもしれない。

この本を読んで我が城の掟に掲げたいのは、シンプルに「本当に気に入ったものだけを置く」ということ。もうこれに尽きる、わかってるんだ!あと、「ごちゃごちゃした小物は隠せ!」も採用したい。いまさらだと思われるかもしれないが、それくらい家づくりへの解像度が低すぎる自分。近々引っ越しをしないといけないので、その折に実行を誓う。

 

5月:【ZINE】文フリ東京で購入した本

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これまでZINEとはだいぶ距離があり、この2025年にまだ「ザイン」だと思っていた当方。おしゃれな友達に汚物を見るような目で「え…?本気で言ってる…?」と蔑まれながら、初めての文フリ、初めてのZINE!

初心者すぎて、チケットの買い方も予習も回り方も何もわからず、なんなら入場時にもらえるはずのマップ入りのバッグ(?)さえ受け取れない始末。残念ながら買い逃した本や、あれ欲しかったー!と後から地団駄を踏んだ本もあるのだが、フリーペーパー含め↑の本を僭越ながらゲットし、ほくほくと5月中に全部読みました。ここで個々の名前を挙げさせていただくのも恐縮なので割愛しますが、どの本も普段拝読しているブログよりももう一歩内側に入り込んだ生の話が生の文で紡がれていて、熱い血が流れている…!とぐっときた。そういう文章に励まされることがたくさんある。

 

6月:【鳥】川上和人『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』

5月の日記にも書きましたが、出社中にカラスに後頭部を二度襲われ、そのショックで対鳥PTSDを発症している昨今。逆に今がチャンスなのでは?という謎のポジティブ思考で、鳥と鳥類学者の生態に近付いてみた。一応この未知本チャレンジは小説とエッセイは除いていたのだが、まあ鳥エッセイという新ジャンルなのでよしとしよう。

まず何よりも文章が面白くて、辺境の地に好奇心とド根性で飛び込む系のルポが大好物なこともあり、川上さんのファンになった。わたしがカラスに襲われたのなんて、なんでもないことなんだと思いたい…という救済願望も裏目的としてあったのだが、そういう意味では「夜間調査中、ヘッドライトに反応した大量の小バエが呼吸のたびに口と鼻から侵入」と「同じく夜間調査中、ヘッドライトに反応した13mmの蛾が耳に飛び込み、耳奥で大暴れ」が不憫すぎて大いに励まされた。ありがとうございます。

 

総括

学生時代に一番嫌だった行事は何を差し置いても「持久走」なわたしが、過酷な労働環境との格闘を前にしてハンセン先生に導かれ、自ら走り始めた2025年上半期。最近は暑すぎて(さらに仕事にも慣れてきてあまり必要性を感じなくなり)一旦休止しているのだが、それでも1月最終週〜7月頭までの5ヶ月と少し、たとえ20分の距離でも、それはもうウォーキングでは?というくらいに途中歩いても、週2でランニングするという習慣を継続できたのは本当に大きな変化だった。上半期は割とどの本も自分の生活に根ざしたラインナップで、読むことと生活が地続きになっていたのが嬉しかったなあ。下半期も継続するぞー!

 

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